司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
法定相続情報一覧図とは、戸籍をもとに相続関係を一覧にまとめ、法務局が認証する書類です。相続登記や預金解約などで戸籍一式の代わりに使える場面がありますが、取得には戸籍収集や一覧図の作成が必要です。使える手続き・取得方法・注意点を司法書士が解説します。
目次
相続手続きでは、同じ戸籍一式を何度も提出する必要があり、それが手続き全体の遅れる原因になることがあります。
法定相続情報一覧図を取得しておくと、戸籍の代わりとして複数の手続きを同時に進めることができ、相続手続きの時間と手間を大きく減らせます。
実際に、次のような場面で効果を発揮します。
このコラムでは、法定相続情報一覧図とは何か、取得方法・必要書類・使える場面・注意点・自分で申出できるかどうかを、司法書士が解説します。
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方と相続人の関係を、戸籍をもとに一覧図としてまとめた書類です。
申出人(相続人)が作成した一覧図を法務局に提出し、法務局が戸籍の内容と照合したうえで、認証文付きの写しを交付します。
簡単にいうと、分厚い戸籍の束を毎回提出する代わりに、相続関係をA4用紙1枚程度に整理して証明できる書類です。
平成29年5月から運用が始まり、現在では相続登記・金融機関・税務署など、幅広い手続きで戸籍の代替書類として認められています。
| 戸籍一式 | 法定相続情報一覧図 | |
|---|---|---|
| 証明力 | 原本。記録そのもの | 法務局認証の写し |
| 通数 | 基本的に1セット | 何枚でも無料取得可 |
| 手続きごとの提出 | 提出・返却を繰り返す必要がある | 複数の手続きに同時使用できる |
| 費用 | 1通450〜750円程度(役所による) | 無料 |
| 取得の手間 | 複数市区町村への請求が必要 | 法務局への申出1回 |

ここで、ひとつ重要なことを押さえておいてください。
この制度は「戸籍を集めなくてよくなる制度」ではありません。一度集めた戸籍を、その後の手続きで何度も出し直さなくて済むようにする制度です。
法定相続情報一覧図を取得するためには、最初に戸籍一式を正確に揃える必要があります。戸籍が1通でも不足している状態では、申出自体ができません。
次のいずれかに当てはまる場合は、取得しておくことをおすすめします。
これらに該当する場合、戸籍の原本を使い回す方法では、各窓口の返却待ちで手続きが順番待ちになり、全体で数週間以上遅れることがあります。
一方、手続き先が1か所だけで戸籍の提出・返却でスムーズに進められる場合は、必ずしも取得しなくてよいケースもあります。

申出に必要な主な書類は以下のとおりです。
特に注意が必要なのは、亡くなった方の「出生から死亡まで」の戸籍です。最後の戸籍だけでは足りません。転籍・婚姻・法律改正(改製)などで戸籍が複数に分かれている場合は、出生時点まで遡って揃える必要があります。また、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、父母の出生から死亡までの戸籍が必要になることもあります。ここで不足があると、法務局で補正になることがあります。
法務局のウェブサイトでひな形(エクセル等)が公開されています。亡くなった方を中心に、相続人全員の氏名・生年月日・続柄などを図式化したものを作成して提出します。
記載には一定のルールがあり、続柄の書き方・フォント・記載位置などについて細かい決まりがあります。1か所でも誤りがあると、法務局から補正(やり直し)を求められます。
法定相続情報一覧図は、申出人側で作成して法務局に提出するものです。法務局が一から作成してくれるわけではありません。
申出先は、次のいずれかの地域を管轄する法務局です。
窓口への持参のほか、郵送での申出も可能です。司法書士などの代理人による申出もできます。
写しの枚数は申出時に指定でき、何枚でも無料で取得できます。手続き先の数に合わせて少し多めに申請しておくと、後から追加請求する手間を省けます。
申出書と一覧図・戸籍一式が提出されると、法務局の担当官が内容を確認・照合します。書類に不備がある場合は補正の連絡が来ます。
問題がなければ、認証文入りの写しが交付されます。提出した戸籍一式は原本が返却されます。
処理期間は法務局の混雑状況や申出内容によりますが、問題がなければ1週間前後で交付されることもあります。郵送申出の場合は往復の郵送期間も加わります。戸籍収集から始める場合は、本籍地の数や相続関係の複雑さによってさらに時間がかかることがあります。相続登記や預金解約を急ぐ場合は、早めに準備を進めることをおすすめします。

法定相続情報一覧図は、あくまで「誰が相続人か」を証明する書類です。
そのため、法定相続情報一覧図があっても、次の書類は別途必要になります。
「法定相続情報一覧図を取れば手続きが全部終わる」わけではありません。「戸籍の束を毎回出さなくて済むようにする書類」と考えるとわかりやすいです。
相続放棄をした人がいても、一覧図には「相続人」として名前が記載されたままになります。相続放棄の事実を証明するには、家庭裁判所の相続放棄申述受理通知書や申述受理証明書などが別途必要になります。
通常の相続ではあまり多くありませんが、相続人の資格自体が問題になるケースでは注意が必要です。
相続欠格(民法891条)とは、相続人が被相続人を殺害しようとした場合や遺言に関する不正を行った場合などに、法律上当然に相続権を失うことをいいます。廃除(民法892条)とは、被相続人が家庭裁判所に申し立てることで、特定の相続人の相続権を失わせる手続きです。
廃除は家庭裁判所の審判を経て戸籍に記載されるため、戸籍を正確に読み取れば確認できる可能性があります。
一方、相続欠格は戸籍に記載されません。 そのため、欠格事由がある場合でも、法定相続情報一覧図には欠格者が相続人として記載されたまま作成されてしまいます。一覧図の記載内容だけを見ても、欠格の事実はわかりません。
そのため、一覧図の記載内容をそのまま前提にして手続きを進めると、相続人の範囲を誤るリスクがあります。少しでも親族間でのトラブルや特殊な事情がある場合は、一覧図の作成前に司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
ごく一部の金融機関では、今でも戸籍原本の提示を求めるケースが残っています。また、数次相続(相続手続きの途中でさらに別の相続が発生しているケース)では、作成方法が通常と異なります。
次のような場合であれば、ご自身で申出できる可能性があります。
一方、次のような場合は、途中で手続きが止まることが多くなります。
法定相続情報一覧図は無料で取得できる制度ですが、前提となる戸籍収集や相続関係の確認を誤ると、その後の相続登記や預金解約にも影響します。
よくあるのが、「一覧図を作成して提出したが、戸籍の不足や記載ミスで補正になり、1〜2週間手続きが遅れるケース」です。特に兄弟姉妹相続や数次相続では、この補正が複数回発生することもあります。千葉市で相続手続きを進めている方からも、「戸籍は集めたが一覧図で止まった」というご相談を多くいただきます。
「戸籍は集めたが、相続人の確定に不安がある」「一覧図の書き方が合っているか分からない」「相続登記や預金解約までまとめて進めたい」という場合は、司法書士に相談することをおすすめします。
完全に不要になるわけではありません。申出時には戸籍一式が必要です。また、提出先によっては戸籍原本の確認を求められることもあります。申出後は戸籍一式が返却されますので、手続き全体が完了するまで大切に保管しておくことをおすすめします。
法務局としての有効期限はありませんが、金融機関・証券会社・税務署などの提出先によっては「発行から3か月〜6か月以内」のものを求められる場合があります。提出先ごとに確認しておくと安心です。
相続人を確認するための書類として使えますが、預金解約には金融機関所定の相続届・本人確認書類・印鑑証明書・遺産分割協議書などが別途必要になることがあります。一覧図は「戸籍の束の代わり」であり、それ単独で手続きが完了するものではありません。
申出人側で作成して法務局に提出します。法務局が一から作成してくれるわけではありません。作成した一覧図を法務局が戸籍と照合し、問題がなければ認証文付きの写しを交付します。
申出時に枚数を指定すれば、何枚でも無料で取得できます。後から追加が必要になった場合も、改めて申出することができます。複数の手続きを同時に進める予定がある場合は、申出時にまとめて多めに取得しておくと効率的です。
法務局への郵送申出に対応しています。申出書・戸籍一式・本人確認書類の写し・返信用封筒(切手貼付)を同封して送付します。書類に不備があると補正のやり取りが発生するため、余裕をもって申出することをおすすめします。
「戸籍は集めたが、一覧図の書き方が分からない」「相続人の範囲が合っているか不安」「法務局から補正にならないか心配」という方は、当事務所へご相談ください。戸籍のチェックから一覧図の作成・法務局への申出代行まで、途中からのご依頼にも対応しています。
法定相続情報一覧図を取得するには、まず亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を正確に集める必要があります。当事務所では、戸籍収集・相続人調査・法定相続情報一覧図の作成・相続登記・預金解約のサポートまで、相続手続きをまとめてご相談いただけます。「何から手をつければよいか分からない」という段階でもお気軽にご連絡ください。
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