司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
相続登記は自分で申請できる手続きですが、戸籍不足、不動産の見落とし、遺産分割協議書の記載ミス、住所のつながりなどで途中で止まってしまうケースがあります。この記事では、相続登記を自分で進める前に確認したい注意点を、司法書士の実務目線で解説します。
目次
相続登記は、自分で申請することもできる手続きです。
しかし実際には、「戸籍を集めたつもりだったのに足りなかった」「古い登記簿を見て遺産分割協議書を作ったら、現在の登記情報と違っていた」など、途中で手続きが止まってしまうケースがあります。
特に、父が亡くなった後に母も亡くなっている数次相続や、相続人が遠方にいるケースでは、一度作った遺産分割協議書を作り直すだけでも大きな負担になります。
このコラムでは、相続登記を自分で進める前に知っておきたい注意点を、司法書士の実務目線で解説します。

相続登記でまず壁になるのが、戸籍の収集です。
相続登記では、亡くなった方の相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める必要があります。転籍・婚姻・離婚などで本籍地が変わっている場合は、複数の市区町村に郵送で請求しなければならず、本籍地が複数ある場合や郵送で取り寄せる場合には、数週間から1〜2か月程度かかることもあります。
さらに、状況によっては必要な戸籍の範囲が大幅に広がります。
たとえば、父が亡くなった後に相続登記をしないまま母も亡くなっているケースでは、父の戸籍だけでなく、母の出生から死亡までの戸籍も必要になることがあります。このように、最初の相続登記をしないまま次の相続が発生している状態を、数次相続といいます。
兄弟姉妹が相続人になるケースや、前婚の子・養子・認知した子がいる可能性があるケースでは、必要な戸籍の範囲がさらに広がります。
「亡くなった方の戸籍を取ればよい」というだけではなく、相続関係に応じて誰のどの範囲の戸籍が必要かを正確に把握することが、最初のハードルです。
相続登記では、遺産分割協議書に不動産を正確に記載しなければなりません。土地であれば所在・地番・地目・地積、建物であれば所在・家屋番号・種類・構造・床面積などを、現在の登記情報と一致する形で書く必要があります。
よくあるのが、古い権利証や登記簿謄本をそのまま参照して書いてしまうケースです。その後に分筆・合筆・地積更正などが行われていると、現在の登記情報と地番や地積が変わっていることがあります。古い情報をそのまま書いた協議書は、登記申請に使えないことがあります。
また、数字や記載内容の誤りも意外と多いです。地番・家屋番号・地積の数字を間違えてしまうケースや、住所の記載が住民票と微妙に異なるケースがあります。
記載内容に不備があると、法務局から補正を求められたり、内容によっては遺産分割協議書の作り直しが必要になったりすることがあります。その場合、相続人全員から再度署名・押印をもらう必要が生じ、手続きが大きく遅れてしまいます。相続人が複数いる場合や遠方に住んでいる場合は、この作り直しだけで大きな手間と時間がかかります。
遺産分割協議書に不動産を記載するときは、必ず現在の登記事項証明書を取得して、正確な情報をもとに作成することが重要です。
相続登記で意外と多いのが、登記すべき不動産を見落としてしまうケースです。
相続人の方が不動産を確認するとき、固定資産税の納税通知書や課税明細書を見て「ここに載っている不動産だけ登記すればよい」と判断しがちです。しかし、固定資産税通知書に載っている不動産だけが被相続人名義の不動産とは限りません。
固定資産税が非課税になっている私道・山林・畑、共有持分の一部などは、通知書に表示されないことがあります。
もう一つ見落とされやすいのが、未登記の建物です。古い家屋は登記されていないまま放置されているケースがあります。未登記建物は登記事項証明書には出てきません。固定資産税の課税明細に記載されている場合でも、相続人の方が「固定資産税がかかっている=登記されている」と誤解してしまうことがあります。未登記建物がある場合は、建物表題登記という別途の手続きが必要になります。建物表題登記は土地家屋調査士の業務となりますが、当事務所では提携する土地家屋調査士と連携して対応できるため、窓口をひとつにまとめることが可能です。
固定資産税が課税されている不動産ではなく、「被相続人名義で登記されている不動産」を確認することが重要です。そのため、固定資産税通知書だけで判断せず、まずは市区町村で名寄帳を取得し、必要に応じて登記事項証明書で現在の登記内容を確認することが大切です。
一部の不動産を漏らしたまま遺産分割協議書を作成してしまうと、後から再協議・再署名が必要になります。相続人が多い場合や遠方にいる場合は、この手間が大きな負担になります。
戸籍を集めたものの足りているかわからない、固定資産税通知書以外に不動産があるか不安、古い権利証や登記簿を見て協議書を作ってしまった、未登記の建物があるかもしれない――こうした疑問は、相続登記を自分で進める方からよくいただきます。
当事務所では、現在お手元にある戸籍・固定資産税通知書・登記事項証明書・遺産分割協議書案を確認し、不足している書類や今後の進め方を整理します。戸籍収集から相続人調査、不動産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請までまとめてサポートしています。
相続登記では、登記簿上の所有者と亡くなった方が同一人物であることを確認する必要があります。ここで問題になりやすいのが、登記簿に記載されている住所と、亡くなった時の最後の住所が異なるケースです。
引っ越しをしたまま住所変更登記をしていなかった場合、登記簿上には以前の住所が残っています。この場合、「同一人物であること」を証明するために、住所のつながりを示す書類が必要になります。
住民票の除票で住所のつながりが確認できれば問題ありませんが、転居を繰り返していた場合や、保存期間の関係で、住民票の除票だけでは住所のつながりを確認できないことがあります。
その場合、戸籍の附票・除附票を追加で取得することになります。それでもつながらない場合は、不在籍証明書・不在住証明書・権利証・上申書などを組み合わせて対応するケースもあります。
「戸籍はすべて集めたのに、住所がつながらないために追加書類が必要になった」というケースは珍しくありません。戸籍収集と並行して、住所のつながりも早めに確認しておくことが大切です。
2024年4月から、相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく放置した場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
注意が必要なのは、この義務化は2024年4月以降に発生した相続だけが対象ではないという点です。過去に発生した相続で、まだ相続登記をしていない不動産についても対象になります。
「まだ話し合いがまとまっていない」「しばらく使う予定がない」という理由で放置していると、その間に次の相続が発生し、関係者がさらに増えて手続きが複雑になります。相続登記を放置している間に相続人の一人が亡くなってしまうと、その人の相続人も関係者になります。当初は数人で済んだ手続きが、十数人の署名・押印が必要な手続きになることもあります。
相続登記は、放置するほど簡単になるものではありません。時間が経てば経つほど、対応が難しくなることが多いです。
相続人が少なく、不動産も自宅1か所だけで、戸籍や住所のつながりにも問題がない場合は、自分で進めやすいケースといえます。
一方、以下のようなケースでは専門家に相談した方がスムーズです。
「途中まで自分で進めたけれど不安になった」という段階でも、専門家に相談することは可能です。実際には、途中からご相談いただくケースが多い分野です。
自分で申請することもできます。ただし、戸籍の収集・不動産の調査・遺産分割協議書の作成・登記申請書の作成など、確認すべきことは多くあります。相続関係がシンプルで不動産の内容も明確な場合は自分で進められることもありますが、少しでも不安がある場合は専門家への相談をおすすめします。
はい、途中からでも依頼できます。実際には、途中からご相談いただくケースが多いです。戸籍を集めたものの足りているかわからない、遺産分割協議書を作ったが不安、法務局から補正や追加書類を求められた、という段階でご相談いただくことも可能です。すでに取得済みの戸籍や固定資産税通知書、登記事項証明書などがあれば、それらを確認したうえで不足書類や今後の進め方をご案内できます。
複雑になることがあります(数次相続)。父と母それぞれの相続関係を確認する必要があり、必要な戸籍の範囲が広がります。
固定資産税通知書だけでは不十分な場合があります。非課税の私道・共有持分・山林などが漏れることがあるほか、未登記の建物が別途存在するケースもあります。名寄帳や登記事項証明書で被相続人名義の不動産を確認することが重要です。
未登記の建物がある場合は、相続登記の前に建物表題登記が必要になります。古い家屋では登記されていないケースがあります。固定資産税がかかっていても登記されていないケースがあるため、早めの確認が必要です。建物表題登記は土地家屋調査士の業務となりますが、当事務所では提携する土地家屋調査士と連携して対応できます。
相続登記の場合、通常は亡くなった方について住所変更登記をするわけではありません。ただし、登記簿上の住所と死亡時の最後の住所が違う場合には、同一人物であることを確認するため、住所のつながりを証明する書類が必要になります。住民票の除票、戸籍の附票、除附票などで確認します。つながらない場合には、不在籍証明書や不在住証明書などを求められることもあります。
相続人全員から改めて署名・押印をもらう必要があります。相続人が遠方にいる場合や人数が多い場合は、大きな手間と時間がかかります。最初から現在の登記事項証明書をもとに正確な情報で作成することが重要です。
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。2024年4月の義務化以前に発生した相続も対象になります。

1つでも不安がある場合は、自分で進めると途中で止まる可能性があります。早めに確認しておくことをおすすめします。
相続登記は自分で進められる手続きですが、実際には戸籍不足・不動産の漏れ・未登記建物・遺産分割協議書の記載ミス・住所のつながりなど、様々な場面でつまずくケースがあります。
当事務所では、戸籍収集から相続人調査、不動産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請まで、相続手続き全体をまとめてサポートしています。「自分で進めていたが途中で止まってしまった」「法務局から補正や追加書類を求められた」「何から始めればよいかわからない」という段階からご相談いただけます。取得済みの戸籍や固定資産税通知書、登記事項証明書、作成途中の遺産分割協議書がある場合は、それらを確認したうえで必要な手続きと不足書類を整理いたします。
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