司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
相続登記後に別の不動産が見つかるのを防ぐため、固定資産税通知書・名寄帳・登記事項証明書・所有不動産記録証明制度の使い分けを解説。私道持分、遠方の山林、古い共有持分、未登記建物など、見落としやすい不動産の確認方法も司法書士がわかりやすく整理します。
目次
相続登記を終えて安心していたのに、後から亡くなった方名義の別の不動産が見つかるケースは珍しくありません。すでに登記を終えた方でも、実際に起きています。
しかもその多くは、自宅前の私道持分、遠方の山林、昔の共有名義のまま放置されていた土地といった「普段の生活ではまったく意識していない不動産」です。
こうした不動産は固定資産税の通知書に載らないことが多く、見落としたまま手続きを終えてしまうことがあります。1件でも漏れていると、遺産分割協議のやり直し、相続人全員からの再度の署名・押印、追加の登記費用、将来の売却や建替えでのトラブルにつながる可能性があります。
「知らなかった」では済まない不動産の見落としを防ぐため、このコラムでは固定資産税通知書・名寄帳・登記事項証明書・所有不動産記録証明制度の使い分けを司法書士が解説します。
相続が発生すると、多くの方が固定資産税の納税通知書や課税明細書を見て不動産を確認します。しかし、固定資産税通知書に載っている不動産だけが、亡くなった方名義の不動産とは限りません。

以下のような不動産は通知書に出てこないことがあります。
固定資産税が課税されているかどうかではなく、「亡くなった方名義で登記されている不動産があるか」を確認することが、相続登記では重要です。

不動産の見落としを完全に防ぐには、固定資産税通知書だけで判断せず、複数の資料を組み合わせて確認することが大切です。
まず手元にある通知書・課税明細書で把握できる不動産をリストアップします。ただしこれはあくまで出発点であり、これだけでは不十分です。
課税情報ベースの確認です。通知書に載っていない不動産が見つかることがあります。ただし名寄帳は市区町村ごとの資料です。亡くなった方が複数の市区町村に不動産を持っていた可能性がある場合は、それぞれの市区町村で確認する必要があります。
登記情報ベースの確認です。亡くなった方が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的に確認しやすくなります。非課税の私道や古い共有持分も拾える可能性があります。
一覧で把握した不動産について、個別に登記事項証明書を取得して権利関係を確認します。一覧はあくまで所有不動産の把握に使うものであり、実際の持分・担保の有無・現在の権利関係の確定は、登記事項証明書で1件ずつ確認する必要があります。
固定資産税の課税明細に建物の記載がある場合でも、登記されていない(未登記)可能性があります。古い家屋・増築部分・納屋などは要注意です。
所有不動産記録証明制度とは、法務局に申請することで、亡くなった方が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的に確認できる制度です。2026年2月2日から運用が始まりました。なお、2024年4月1日に始まったのは相続登記の義務化です。
これまで、亡くなった方がどこに不動産を持っていたかを調べるには、不動産ごとに登記情報を調べるか、市区町村ごとに名寄帳を取得するしかありませんでした。この制度により、登記情報をもとに全国の不動産を一括で確認しやすくなりました。
ただし、この制度を利用するには、自分が相続人であることを証明するために、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍一式などが必要になります。つまり、所有不動産記録証明制度の申請に必要な書類は、相続登記本番の手続きとほぼ変わりません。

| 項目 | 法務局(所有不動産記録証明) | 市区町村(名寄帳) |
|---|---|---|
| 取得先 | 法務局 | 市区町村役場 |
| 情報のもと | 登記情報 | 固定資産税の課税情報 |
| 確認できる範囲 | 登記されている不動産 | その市区町村内の固定資産 |
| 非課税の私道・山林 | 確認できる可能性がある | 載らないことがある |
| 遠方の土地 | 全国から確認しやすい | 市区町村ごとに個別取得が必要 |
| 未登記建物 | 原則確認できない | 課税されていれば確認できることがある |
どちらか一方だけでは把握しきれないケースがあります。両方を組み合わせることで、漏れをより確実に防ぐことができます。
私道持分 千葉市周辺の住宅街や分譲地では、自宅前の道路を近隣住民で共有しているケースが多くあります。公衆用道路として非課税になっているため通知書に載らず、売却しようとした段階で「道路部分だけ亡くなった方名義のまま残っていた」と発覚し、手続きがストップするトラブルが起きることがあります。
遠方の山林・原野 昭和の時代に取得した遠方の山林や使い道のない原野は、固定資産税が年間数千円またはゼロのため放置されがちです。家族が存在を知らないケースも多く、調査して初めて見つかることがあります。
古い共有持分 祖父母の代から続く共有不動産で、持分が細かく分かれているものが残っているケースがあります。過去の相続で処理済みと思っていたが、実際には登記が残っていたということもあります。
所有不動産記録証明制度を使えばすべての不動産が完全にわかるわけではありません。この制度は登記情報をもとにしているため、未登記建物は確認できません。
一方で、課税明細に建物の記載がある場合でも、登記されているとは限りません。古い建物・増築部分・納屋・離れなどは課税台帳には載っていても未登記のままになっていることがあります。未登記建物がある場合は、建物表題登記が別途必要になります。
固定資産税通知書だけを見て相続登記を進めると、私道持分や非課税の土地が漏れることがあります。1件でも漏れていると、遺産分割協議の作り直し、相続人全員への再招集、追加の登記申請、将来の売却トラブルにつながる可能性があります。
時間が経つほど相続人が増え、手続きがさらに複雑になることがあります。「まだ大丈夫」と思っているうちに、次の相続が発生して関係者が増えてしまうケースは少なくありません。
当事務所では、名寄帳・登記情報の確認を含めた不動産調査から相続登記まで一括でサポートしています。「全部把握できているか不安」という段階からご相談いただけます。
法務局で申請します。取得できるのは、名義人本人または相続人など一定の権限がある方に限られます。申請には自分が相続人であることを証明する戸籍などが必要になるため、事前に最寄りの法務局で確認することをおすすめします。
できれば両方取ることをおすすめします。名寄帳は課税情報ベース、所有不動産記録証明は登記情報ベースのため、それぞれで把握できる不動産が異なることがあります。両方を照らし合わせることで漏れを防ぎやすくなります。
漏れが見つかった不動産について、改めて相続登記の申請が必要になります。遺産分割協議書の内容によっては、相続人全員から再度署名・押印をもらい直す必要が生じることもあります。
未登記の建物がある場合は、建物表題登記が別途必要になります。建物表題登記は土地家屋調査士の業務となりますが、当事務所では提携する土地家屋調査士と連携して対応できるため、窓口をひとつにまとめることが可能です。
相続登記では、どの不動産を登記すべきかを正確に把握することが出発点になります。固定資産税通知書だけでは私道持分・非課税土地・古い共有持分・遠方の土地を見落とすことがあります。放置すると相続関係が複雑化し、解決にかかる時間や費用が大きくなる傾向があります。
当事務所では、固定資産税通知書・名寄帳・登記情報・所有不動産記録証明制度を組み合わせた不動産調査から、戸籍収集、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請まで一括してサポートしています。未登記建物が疑われる場合も、提携する土地家屋調査士と連携して確認・対応できます。
「親名義の不動産がどこまであるかわからない」「通知書以外にも確認すべきか不安」という段階からご相談いただけます。
千葉市緑区・千葉市内・周辺地域で相続登記や不動産調査にお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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