司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
相続登記に必要な戸籍・住民票・固定資産評価証明書・遺産分割協議書などの書類をケース別に解説。戸籍不足、評価証明書の年度違い、不動産表示の誤り、私道持分の見落としなど、相続登記で手続きが止まりやすいポイントもわかりやすく整理します。
目次
「戸籍を集めたのに、法務局から足りないと言われた」「固定資産評価証明書を取ったのに、年度が違って使えなかった」「遺産分割協議書を作ったのに、不動産の表示が違って作り直しになった」
相続登記を自分で進めようとした方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
相続登記は、必要書類を揃えて申請すれば進められる手続きです。ただし、戸籍が1通不足していたり、評価証明書の年度が違っていたり、遺産分割協議書の不動産表示に誤りがあったりすると、法務局から補正を求められ、手続きが止まってしまいます。
特に、相続人全員が署名・実印を押した後に協議書の誤りが見つかると、再度全員から署名・押印をもらい直す必要が生じます。相続人が遠方にいる場合や人数が多い場合は、この作り直しだけで手続きが1〜2か月遅れることもあります。
また、2024年4月から相続登記は義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に申請が必要です。「いつかやればいい」と先送りできない手続きになっています。
このコラムでは、相続登記に必要な書類をケース別に整理しながら、実際に手続きが止まりやすいポイントを解説します。
まず、遺言書の有無や遺産分割の方法にかかわらず、原則として必要になる書類を整理します。

| 書類 | 誰のもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 被相続人 | 出生から死亡まで連続して必要 |
| 住民票の除票 | 被相続人 | 本籍地の記載があるもの |
| 戸籍謄本 | 相続人全員 | 現在の戸籍 |
| 住民票 | 不動産を取得する相続人 | 登記簿に住所を記載するため |
| 固定資産評価証明書 | 不動産 | 申請する年度のもの |
| 登記事項証明書 | 不動産 | 協議書の不動産表示確認に必須 |
| 名寄帳 | 不動産 | 私道・共有持分の漏れ確認 |
ここで特に注意したいのは、死亡の記載がある戸籍だけでは足りないという点です。相続登記では誰が相続人かを確認するために、出生から死亡まで戸籍が連続してつながっている必要があります。「現在の戸籍だけ取れば足りる」と思っていると、後から除籍謄本や改製原戸籍を追加で求められることがあります。
固定資産評価証明書は登録免許税の計算に必要ですが、提出する年度のものでなければ使えません。3月に取得した評価証明書を、年度をまたいだ4月以降に使おうとすると取り直しになります。
相続人全員で話し合い、不動産を取得する人を決めた場合に必要です。
遺産分割協議書で最も注意すべきなのが不動産の表示です。固定資産税通知書ではなく、必ず現在の登記事項証明書をもとに記載する必要があります。地番・家屋番号・地積などが1つでも違うと、法務局から補正を求められます。全員が署名・押印した後に誤りが見つかると、最初からやり直しになることがあります。
法律で定められた割合のまま登記する場合、遺産分割協議書・印鑑証明書が不要になることがあります。書類が少なく楽に見えますが、注意が必要です。
不動産を複数人の共有名義にすると、将来の売却・建替え・担保設定などの場面で共有者全員の協力が必要になります。たとえば兄弟3人で共有名義にした後、そのうち1人が亡くなると、その方の配偶者や子どもがさらに共有者になります。次の世代で人数が増えると、売却や建替えの同意を取るだけでも大きな負担になります。「書類が少ないから」という理由だけで選択するのは、慎重に検討した方がよいです。
遺言書がある場合でも、不動産の記載が不正確だったり、遺言書に記載されていない不動産が見つかったりすると、別途対応が必要になることがあります。


本籍地が変わっている場合、死亡時の戸籍から順番に遡り、除籍謄本・改製原戸籍を取得していく必要があります。2024年から戸籍の広域交付制度が始まり、直系親族の戸籍は最寄りの役所でも請求できるようになりました。
ただし、広域交付は万能ではありません。出生まで遡る複雑な請求では、役所の窓口で1〜2時間以上待たされた末に「後日お渡しになります」と言われるケースが多発しています。また、兄弟姉妹の戸籍など広域交付の対象にならないものもあります。「近くの役所で全部取れる」と思って進めると、途中で郵送請求が必要になることもあります。
相続登記の登録免許税は固定資産評価額をもとに計算します。申請する年度の評価証明書でなければ使えないため、特に3月から4月にかけて手続きを進める場合は年度が変わるタイミングに注意が必要です。
私道や非課税の土地は、固定資産税通知書に載っていないことがあります。自宅の土地建物だけ登記したつもりでも、後から道路部分の共有持分が亡くなった方名義のまま残っていたことが判明するケースがあります。名寄帳を取得して、被相続人名義の不動産をすべて確認しておくことが大切です。
登記簿上の住所と亡くなった方の最後の住所が異なる場合、同一人物であることを証明するために住所のつながりを示す書類が必要になります。住民票の除票や戸籍の附票で確認しますが、転居を繰り返していた場合は保存期間の関係でつながらないことがあります。
つながらない場合は、戸籍の附票・除附票を追加取得したり、不在住・不在籍証明書や上申書を組み合わせて対応することになります。この判断は一般の方には難しいため、専門家に確認した方が確実です。
戸籍を集めたものの足りているかわからない、評価証明書の年度が合っているか不安、遺産分割協議書の不動産表示が正しいか確認したい——こうした段階でご相談いただくことは少なくありません。
申請してから不備に気づくと、追加書類の取得や協議書の作り直しで時間がかかることがあります。お手元にある戸籍・評価証明書・登記事項証明書・遺産分割協議書案を確認したうえで、不足書類や今後の進め方を整理できます。途中まで自分で集めた書類がある場合でも、その段階からサポートできます。
相続登記のほかに、銀行預金の解約や生命保険金の請求もある場合は、法定相続情報一覧図を取得しておくと便利です。戸籍一式の代わりとして使えることが多く、複数の手続きを同時に進めやすくなります。
ただし、法定相続情報一覧図を作成するためにも、最初に戸籍一式を正確に揃える必要があります。戸籍が足りない状態では、一覧図の申出自体も進みません。
原則として、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。死亡の記載がある戸籍だけでは足りません。相続人が兄弟姉妹になる場合など、状況によってはさらに必要な戸籍の範囲が広がります。
相続登記を申請する年度の固定資産評価証明書が必要です。3月に取得したものを4月以降に使おうとすると取り直しになることがあります。特に年度をまたぐ時期に申請する場合は注意が必要です。
自分で作成することもできます。ただし、不動産の表示を誤ると法務局から補正を求められることがあります。相続人全員が署名・実印で押印した後に誤りが見つかると、再度全員に署名・押印をお願いしなければならない場合があります。相続人が遠方にいる場合や人数が多い場合は、この作り直しだけで手続きが大きく遅れることがあります。
市区町村で名寄帳を取得すると、亡くなった方名義の不動産を確認できることがあります。固定資産税通知書に載っていない私道持分や非課税土地が見つかることもあるため、通知書だけで判断しないことが重要です。
2024年4月から相続登記は義務化されており、正当な理由なく3年以内に申請しない場合は10万円以下の過料の対象になる可能性があります。また、放置している間に次の相続が発生すると関係者が増え、必要書類も増えて手続きがさらに複雑になります。時間が経つほど対応が難しくなるため、早めに進めることをおすすめします。
申請後でもご相談いただけます。補正内容を確認し、必要な対応を整理します。法務局への追加書類提出や修正が必要な場合は、その後の手続きもサポートできます。
1つでも不安がある場合は、その状態で申請すると補正になる可能性があります。
相続登記は、戸籍を集めるだけでなく、相続人の確定、不動産の漏れ確認、評価証明書の年度確認、遺産分割協議書の作成、登録免許税の計算など、複数の確認が必要になる手続きです。書類不足や記載ミスがあると、法務局で手続きが止まってしまうことがあります。
「書類を集めたけれど足りているかわからない」「法務局に出す前に確認したい」「補正になってしまった」という段階でもご相談いただけます。お手元の資料を確認し、不足書類・修正点・今後の進め方を整理したうえで、相続登記の申請までサポートします。
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