司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
未成年の子がいる相続では、親が子を代理して遺産分割できない場合があります。今すぐ分割する必要があるか、特別代理人が必要なケース、候補者の選び方や申立ての流れを解説します。
未成年の子がいる相続では、遺産分割協議の進め方に注意が必要です。
未成年の子は自分だけで協議することができず、通常は親権者が代理します。しかし、親も相続人になる場合には、親が子を代理できないことがあります。
その場合は、家庭裁判所で子のための「特別代理人」を選任します。
ただし、未成年の子がいるからといって、すぐに特別代理人を選任するのが最適とは限りません。まず確認したいのは、次の3つです。
以下、順番に解説します。
子が18歳の誕生日を迎えてから遺産分割協議をすれば、特別代理人を選任する必要はなくなります。
特別代理人を選任する場合は、家庭裁判所への申立てが必要になるだけでなく、未成年の子の利益を守る必要があるため、相続人だけで自由に遺産の分け方を決めることはできません。
そのため、今すぐ遺産分割をする必要がなければ、まずは18歳になるまで待つ方法を検討します。
ただし、次のような場合には、特別代理人を選任して遺産分割を進めます。

なお、遺産分割を待つ場合でも、相続登記は3年以内に申請する必要があります。すぐに遺産分割ができない場合は、相続人申告登記によって申請義務を果たしておく方法があります。
待てるなら待つ。待てない事情があれば、特別代理人を選任する。
まずはこの順番で考えます。
親が未成年の子を代理できるかどうかは、親と子の利益が対立するかによって決まります。

典型例は、父親が亡くなり、母親と未成年の子が相続人になるケースです。
父親が死亡
相続人は母親と未成年の子
母親も子も遺産を取得する立場です。
母親の取得分が増えれば、その分だけ子の取得分が減る関係にあるため、母親は子を代理して遺産分割協議をすることができません。
母親が子にも十分な財産を取得させるつもりであっても、結論は同じです。実際の分け方が公平かどうかではなく、親と子が法律上、利益の対立する立場にあるかで判断されます。
未成年の子が相続人でも、親自身が相続人でなければ、親が子を代理できる場合があります。
例えば、祖父が亡くなる前に、その子である父親がすでに亡くなっていたケースです。
祖父が死亡
相続人は叔父と未成年の孫
孫の母親は相続人ではない
この場合、母親自身は祖父の遺産を取得する立場ではありません。
そのため、母親が子を代理して、叔父との遺産分割協議に参加できます。
つまり、判断基準は、「未成年の子が相続人にいるか」ではなく、
親も相続人となり、親と子の利益が対立するか
という点です。
母親と未成年の子2人が相続人となる場合は、原則として、子どもごとに別の特別代理人が必要です。
母親はどちらの子も代理できず、1人の特別代理人が2人の子をまとめて代理することもできません。
未成年の子が1人
→ 特別代理人1人
未成年の子が2人
→ 原則として特別代理人2人
なお、親自身が相続人でない場合は、親が一方の子を代理し、もう一方の子について特別代理人を選任することになります。
特別代理人が必要なケースで、親が子を代理して作成した遺産分割協議書は、そのまま相続登記や預貯金の相続手続に使用できません。
法務局や金融機関で手続が止まり、特別代理人を選任したうえで、遺産分割協議書を整え直すことになります。
遺産分割協議書を作る前に、親が子を代理できるケースか確認することが重要です。
特別代理人になるために、弁護士や司法書士などの資格は必要ありません。
今回の相続人ではなく、未成年の子との間に利害関係がなければ、祖父母や叔父・叔母などの親族も候補者にできます。
例えば、夫が亡くなり、妻と未成年の子が相続人となる場合、夫または妻の父母が今回の相続人でなければ、祖父母を候補者として検討できます。
遺産が自宅と預貯金などで分かりやすく、子にも相応の財産を取得させる案が作れる場合は、まず利害関係のない親族を候補者にできるか確認します。
親族を候補者とするメリットは、次の2点です。
ただし、親族を特別代理人にすれば、遺産を自由に分けられるわけではありません。
申立ての際には遺産分割協議書案を家庭裁判所へ提出し、特別代理人は未成年の子の利益を守る立場で協議に参加します。
親族を選ぶメリットは、分割内容を自由にできることではなく、費用と意思疎通の面にあります。
次のような場合には、司法書士や弁護士などの専門職を候補者とすることも検討します。
基本的には、
という整理になります。
特別代理人は、先に人だけを選任してもらい、その後で遺産の分け方を考える制度ではありません。
申立ての前に、
を決め、遺産分割協議書案を家庭裁判所へ提出します。
法定相続分と異なる分け方が一律に認められないわけではありませんが、子の取得分が少ない場合には、その理由を説明できるようにしておく必要があります。
一般的には、次の順番で進めます。

一般的には、次の書類を準備します。
裁判所へ納める費用は、未成年の子1人につき収入印紙800円と、裁判所ごとに定められた郵便料です。
未成年の子がいる相続では、次の順番で考えることが重要です。
吉原合同事務所では、遺産分割を今すぐ行う必要があるかという点から、遺産分割案、特別代理人選任申立書、遺産分割協議書の作成、相続登記まで整理して進めます。
未成年の相続人がいる場合は、遺産の分け方を決める前にご相談ください。
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