司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
亡くなった人の名義のままになっている土地や建物は、相続登記を省略して買主名義へ直接変更できるのでしょうか。必要な登記の流れと、売却時の費用や手間を抑える進め方を解説します。
「土地が亡くなった人の名義のままになっているが、相続登記をせずに売却できないか」
「亡くなった親の土地を引き取ってくれる人が見つかったので、登記の手間や費用を減らしたい」
このようなご相談をいただくことがあります。
亡くなった人の名義のままになっている土地や建物を、相続登記を省略して買主名義へ直接変更することは、原則としてできません。
まず相続登記によって不動産を相続人名義に変更し、そのうえで、売買による所有権移転登記を行う必要があります。
一般に「相続せずに売却する」と表現されることがありますが、正確には、相続登記をせずに売却できるかという問題です。
土地が亡くなった人の名義のままになっている場合、登記は通常、次の順番で行います。

亡くなった人の土地を買ってくれる相手がすでに決まっている場合でも、①の相続登記を飛ばして、買主名義へ直接変更することはできません。
不動産の登記簿には、所有権が誰から誰へ移ったのかを、順番どおりに反映させる必要があります。これは、実際に権利が移った順番どおりに登記するという、民法と不動産登記法上のルールがあるためです。
所有者が亡くなる前にその不動産を売却していた場合は別ですが、亡くなった後に相続人が売却する場合、権利は「亡くなった人→相続人→買主」の順に移ります。
そのため、登記も同じ順番で行う必要があり、相続登記を飛ばして、亡くなった人の名義から買主名義へ直接変更することはできません。
相続登記が終わっていなくても、買主を探したり、売却条件について話し合ったりすること自体はできます。
ただし、実際に代金を決済し、買主名義への所有権移転登記を行うまでには、相続登記を完了させておく必要があります。
亡くなった親の土地を売る予定がある場合や、すでに買主が決まっている場合は、売買の予定があることを早めに司法書士へ伝え、相続登記と売買による登記のスケジュールをあわせて組んでおくと安心です。
なお、相続から何年経っていても、時間の経過を理由に相続登記を省略して売却できるようになるわけではありません。
相続登記そのものは省略できません。しかし、売却を見据えて進め方を設計すれば、余計な手間を省き、場合によっては費用も抑えられます。
具体的には、次の3点です。
相続人全員の共有名義にすると、売却時に全員の署名や本人確認、日程調整が必要になります。一人の名義にまとめることで、手続きをシンプルにし、場合によっては売買登記の司法書士費用も抑えられます。
売却の予定がある段階で、先に進められる相続登記を進めておけば、買主への名義変更に間に合わない事態を防げます。売却直前になって慌てることなく、その後の手続きをスムーズに進められます。
一人が不動産を相続して売却する場合は、誰が不動産を取得するかだけでなく、売却代金を誰に、どの割合で分けるのかまで決める必要があります。当事務所では、売却後の代金の分配や税務上の取扱いも見据えて遺産分割を設計し、その内容を遺産分割協議書に落とし込みます。
相続登記を飛ばすことはできません。だからこそ、誰の名義にするか、いつ登記するか、売却代金をどう分けるかを、最初に設計することが重要です。
吉原合同事務所では、単に相続登記を申請するだけではなく、売却までを見据えてこれらを整理し、余計な手続きや費用を減らせるように進めます。
亡くなった人の名義のままになっている土地や建物を売却する予定がある場合は、遺産分割の内容を決める前にご相談ください。
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