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[相続発生後の手続き]

相続放棄後の空き家・農地は放置していい?管理義務と対処法を解説

  • 投稿:2026年05月11日
相続放棄後の空き家・農地は放置していい?管理義務と対処法を解説

相続放棄をしても、空き家・農地・山林を完全に放置してよいとは限りません。放棄後に保存義務が問題になるケース、固定資産税通知や市役所からの連絡への対応、相続財産清算人・国庫帰属制度の注意点を司法書士・土地家屋調査士が解説します。

こんな状況ではありませんか

「親の借金があるので相続放棄したい。でも、実家の空き家や農地はそのままで大丈夫なのか」

「すでに相続放棄したのに、市役所や親族から空き家の管理について連絡が来た」

「空き家が崩れそうで怖い。もう放棄したのに、自分に責任はあるのか」

このようなご相談は少なくありません。

結論からいうと、相続放棄をしても、空き家・農地・山林を完全に放置してよいとは限りません。 特に、放棄の時点でその不動産を現に占有・管理していた場合は、相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、一定の保存義務が問題になることがあります。

この記事では、相続放棄と保存義務の関係、空き家・農地・山林で問題になりやすいこと、放棄前後それぞれの対処法を整理します。

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まず、あなたの状況を確認してください

状況主なリスクまず確認すべきこと
空き家がある倒壊・近隣被害・行政指導現に管理していたか、次順位相続人がいるか
農地がある雑草・病害虫・農地法上の処分制限農業委員会対応、処分可能性
山林がある倒木・境界不明・売却困難管理リスクと出口の有無
全員で放棄予定管理・処分する人がいなくなる相続財産清算人申立ての要否

「放棄すれば終わり」は、場合によっては間違いです

相続放棄が認められると、その相続については初めから相続人ではなかったものとして扱われます。そのため、相続財産としての不動産を取得するわけではありません。

ただし、市区町村の固定資産税の課税情報と家庭裁判所の相続放棄の手続きは自動的に連動するわけではないため、放棄後も通知が届くことがあります。また、放棄の時点でその不動産を現に占有・管理していた場合には、放棄後の保存義務や近隣トラブルが問題になることがあります。

たとえば、こういったケースが実際に問題になります。

  • 放棄した実家の空き家が老朽化し、屋根や外壁が崩れて隣の家に被害が出た
  • 誰も管理しないまま放置が続き、市役所から空き家の管理について通知・指導が届いた(状況によっては、特定空家等として指導・勧告・命令、最終的には行政代執行の対象となることもあります)
  • 農地の管理を放置したことで、近隣農家から病害虫・雑草の苦情が来た

「自分はもう関係ないから」と思っていたのに、想定外のトラブルに巻き込まれる——これを防ぐには、放棄前に保存義務の話を正しく理解しておく必要があります。

相続放棄後に保存義務が残るケースとは(民法940条)

一般に「管理義務」と説明されることもありますが、現行の民法940条では、放棄時に相続財産を現に占有している人について、相続人や相続財産清算人に引き渡すまでの間の「保存義務」が定められています。

つまり、相続放棄をした人すべてが責任を負うわけではありません。 ただし、放棄した時点でその不動産を実際に管理・占有していた場合には、次に管理する人へ引き渡すまで、最低限の保存義務が問題になることがあります。

ポイントは「現に占有しているかどうか」です。

次のような場合は、占有・管理していると評価される可能性があります。

  • 実家の鍵を持っていて、定期的に出入りや換気をしていた
  • 草刈りや修繕など、実際に管理行為をしていた
  • 相続開始後もその不動産を事実上コントロールしていた

一方で、遠方の実家で、鍵の管理や定期的な出入り・修繕・草刈りなどをしておらず、実際に管理していたとはいえない場合まで、常に同じ義務を負うとは限りません。

大切なのは「放棄したかどうか」だけでなく、「その財産を実際に占有・管理していたか」です。

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相続放棄後に保存義務が残るかどうかを、放棄時にその不動産を現に占有・管理していたかで分けて示した判断図
自分が保存義務を負うケースか分からない方へ

空き家・農地・山林がある相続放棄では、「放棄できるか」だけでなく、「放棄後に管理リスクが残るか」まで確認する必要があります。千葉県内でも、郊外の実家、農地、山林が相続財産に含まれるご相談は少なくありません。

吉原合同事務所では、相続放棄の手続きとあわせて、不動産の現況・境界・農地・国庫帰属制度の可能性まで整理できます。

 空き家・農地がある相続放棄を相談する(無料)

空き家・農地・山林で問題になりやすいこと

空き家の場合

老朽化した実家を誰も管理しないまま放置していると、次のような問題が起きやすくなります。

  • 屋根瓦・外壁が落ちて隣地や通行人に被害が出る
  • 雨どいや草木が隣地にはみ出して苦情が来る
  • 市区町村から空き家の管理について通知・指導が届く。状況によっては「特定空家」に指定され、指導・勧告・命令を経て行政代執行(強制解体)の対象になることもある
  • 固定資産税の通知で、知らなかった不動産の存在を初めて把握する

固定資産税の納税通知書が届いた段階で「自分も相続人だったのか」と気づくケースも少なくありません。通知が届いたら、まず相続放棄の期限(3か月)を確認してください。

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農地の場合

農地は「いらないから放置」が通用しない土地です。

  • 耕作していないと草が伸び、近隣農家から病害虫・雑草の苦情が来る
  • 農業委員会から連絡が入る
  • 草刈り費用が継続的にかかる
  • 売りたくても農地法の制限があり、簡単に売却できない

農地の場合は、農地法上の制限、現況、接道、境界、近隣利用の状況なども問題になります。当事務所では、相続放棄の手続きだけでなく、農地の現況や処分可能性についても、必要に応じて整理することができます。

山林の場合

  • 手入れをしないと倒木リスクが高まり、近隣や道路への影響が出る
  • 境界が不明なまま放置されているケースが多い
  • 管理費用がかかる一方、売却先が見つかりにくい

山林は特に「誰も引き受けない」状況になりやすく、全員が放棄した後の着地点を事前に考えておく必要があります。

相続放棄後の空き家、農地、山林それぞれで起こりやすい問題や管理リスクを比較して整理した図

放棄前に確認すべきこと

相続放棄は「手続きが終わればゴール」ではありません。次の点を放棄前に整理しておくことで、後のトラブルを防げます。

① 不動産の現況を把握する 建物の状態、農地の種別、境界の状況、近隣への影響リスクを確認しておきます。

② 次の順位の相続人を確認する 自分が放棄すると、次の順位(兄弟姉妹・甥姪など)に相続権が移ります。誰に移るか、その方も放棄を考えているかを把握しておく必要があります。

③ 全員が放棄した場合の着地点を考える 相続人全員が放棄した場合、家庭裁判所への相続財産清算人選任申立てが必要になることがあります。この手続きには費用と時間がかかります。事前に選択肢を整理しておくことが重要です。

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すでに相続放棄した後に確認すべきこと

放棄後に空き家・農地が残る場合、以下の順番で状況を確認してください。

  1. 相続放棄が正式に受理されているかを確認する
  2. 自分がその不動産を現に占有・管理していたかを確認する
  3. 次順位の相続人がいるかを確認する
  4. 管理を引き継げる相手がいるかを確認する
  5. 全員放棄の場合は、相続財産清算人の選任申立てを検討する 〔内部リンク:「相続放棄の連鎖で最後は誰にいく?」〕
  6. 売却・寄付・相続土地国庫帰属制度などの出口を検討する
相続放棄後に、受理の確認、占有・管理の有無、次順位相続人、引継ぎ先、相続財産清算人、売却や国庫帰属制度などの出口確認までの流れを示した図

特に②は、保存義務が残るかどうかの分岐点になります。「自分が該当するかどうか」が判断しにくい場合は、早めに専門家に確認することをおすすめします。

相続人全員が放棄した場合はどうなる?

相続人全員が放棄した場合、そのままでは不動産を管理・処分する人がいない状態になります。この場合、利害関係人などが家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、清算人が財産の管理・処分を進めることになります。

ただし、この手続きには費用がかかります。「誰かがやるだろう」と放置していると、管理の空白が長引き、近隣トラブルや行政からの指摘につながることがあります。

全員で放棄を考えている場合は、「その後どう着地させるか」まで含めて、事前に整理しておく必要があります。

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相続土地国庫帰属制度は使える?

2023年4月、不要な土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が施行されました。ただし、利用できる条件はかなり限られています。

特に多い誤解が、「空き家ごと国に引き取ってもらえる」というものです。 この制度は土地の制度であり、建物がある土地はそのままでは対象になりません。

土地の種類注意点
空き家付きの土地建物があるままでは原則対象外
境界が不明な土地申請前に境界の確認・整理が必要
農地現況・管理状況・周辺利用の状況により判断が分かれる
山林崖・倒木・管理費用の問題が出やすい
私道・通路状の土地他人の利用がある場合は難しいことがある

また、相続放棄をした人は、その土地を相続により取得しないため、放棄後に本人が国庫帰属制度を利用できるとは限りません。 国庫帰属制度は、放棄する前に「取得した場合の出口」として検討するか、相続する人がいる場合に検討する制度です。

審査手数料や負担金もかかります。「とりあえず国に返せばいい」という制度ではないため、まず「自分の土地が対象になりえるか」の確認が最初のステップです。

当事務所でも取り扱いをしていますが、使える条件かどうかを個別に確認したうえでご案内するようにしています。なお、境界が不明な土地は申請前に現地の確認・整理が必要になります。この部分は土地家屋調査士の専門領域です。

こんな場合は、早めにご相談ください

次のような状況に当てはまる方は、放棄の前後を問わず、一度ご相談ください。

  • 実家が空き家になっていて、誰も管理していない
  • 農地・山林が相続財産に含まれている
  • 固定資産税の通知書に、知らない土地が載っていた
  • 市役所や近隣から、管理について連絡が来ている
  • 兄弟・親族も含めて全員で放棄を考えている
  • 国庫帰属制度が使えるか知りたい
  • すでに放棄したが、管理義務があると言われて困っている

特に「すでに放棄したのに連絡が来た」という方は、自分が保存義務を負うケースに当たるかどうかを、早めに確認することをおすすめします。

吉原合同事務所でできること

相続放棄の手続きだけであれば、多くの司法書士事務所で対応できます。

しかし、空き家・農地・山林が絡む場合、本当に問題になるのは「放棄した後、その不動産をどうするのか」です。放棄後の保存義務のリスク、次順位の相続人への影響、不動産の現況と出口——これらを含めて整理する必要があります。

当事務所では、司法書士として相続放棄の申述をサポートするだけでなく、土地家屋調査士として不動産の現況・境界・農地・山林の状態を確認し、必要に応じて相続財産清算人、国庫帰属制度、売却・管理継続などの出口まで整理します。

通常であれば、法的な放棄手続き・境界確認・農地対応など、複数の専門家に分けて相談が必要になるケースでも、当事務所では窓口を一本化してご相談いただけます。

「放棄できるか」だけでなく、「放棄した後に困らないか」まで見据えて相談できる点が、当事務所の特徴です。

よくある質問

Q. 相続放棄したのに固定資産税の通知が来たのはなぜ? A. 市区町村の課税情報は、家庭裁判所の相続放棄の手続きと自動的に連動するわけではありません。放棄後も通知が届く場合があり、自治体から相続放棄申述受理通知書や申述受理証明書の提出を求められることがあります。

Q. 相続人全員が放棄したら、誰が管理するの? A. そのままでは不動産を管理・処分する人がいない状態になります。最終的には、利害関係人が家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てることで、財産の管理・処分が進みます。申立てには費用がかかるため、全員での放棄を考えている場合は、事前に着地点を整理しておくことが重要です。

Q. 放棄後に空き家を解体してもいい? A. 放棄後に相続財産を処分・解体することは、原則として放棄した人が単独で行えるものではありません。保存行為として必要な対応なのか、処分行為に当たるのかによっても判断が変わるため、個別確認が必要です。まずご相談ください。

Q. 農地がある場合、放棄すれば農地法の問題も関係なくなる? A. 相続放棄をすれば農地の所有者にはなりませんが、農地の現況・管理状況・周辺への影響は残ります。誰も引き受けない状態が続くと、農業委員会や近隣農家とのトラブルになるケースもあります。早めに出口を整理することをおすすめします。

Q. 相続放棄前に草刈りや修繕をしても大丈夫ですか? A. 必要最小限の保存行為にとどまるか、財産の処分と評価されるおそれがないかを確認する必要があります。相続財産の処分と見られる行為をすると、相続を承認したと扱われるリスクがあるため、作業前に専門家へ確認することをおすすめします。

Q. 市役所から相続放棄した後に空き家の管理について連絡が来ました。どうすればいいですか? A. 市区町村は家庭裁判所の相続放棄の情報を当然に把握しているわけではないため、固定資産税情報や近隣からの通報をもとに連絡が来ることがあります。相続放棄申述受理通知書や受理証明書の提出を求められる場合もあります。まず放棄が受理されているかを確認し、状況に応じて対応を整理する必要があります。

Q. 空き家付きの土地は相続土地国庫帰属制度を使えますか? A. 建物がある土地は、そのままでは原則として対象になりません。制度の利用を検討する場合は、建物の有無、境界、管理状態、負担金などを事前に確認する必要があります。

まとめ

  • 相続放棄後も、放棄時に現に占有・管理していた場合は保存義務が残ることがある(民法940条)
  • 空き家・農地・山林は「放棄すれば終わり」ではなく、放棄後の管理リスクが残る
  • 相続人全員が放棄した場合は、管理・処分する人がいない状態になり、相続財産清算人の選任が必要になるケースがある
  • 相続土地国庫帰属制度は条件が厳しく、相続放棄した人本人は利用できないケースもある
  • 放棄前・放棄後どちらの段階でも、早めに専門家に相談することで選択肢が広がる

ご相談では、次の点を整理します

  • 相続放棄ができる期限内かどうか
  • 空き家・農地・山林が相続財産に含まれるかどうか
  • 放棄後に保存義務が問題になりそうかどうか
  • 次順位の相続人にどう影響するか
  • 全員放棄の場合に清算人申立てが必要になりそうかどうか
  • 国庫帰属制度・売却・管理継続など、どの出口が現実的か

「依頼するかどうか」は相談後に決めていただいて構いません。まずは現在の状況を整理するところから始めます。

放棄後の空き家・農地、このまま放置して大丈夫か確認する

「もう放棄したから大丈夫」と思っていたのに、市役所や親族から連絡が来て不安になっている方。「放棄する前に、空き家や農地をどうすべきか整理したい」という方。どちらの段階でもご相談いただけます。

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