司法書士
吉原有規
司法書士吉原合同事務所代表。
モットーは「納得できる相続を増やす」こと。相続専門の司法書士として、誰に相談したらよいかわからない悩みを丁寧にお聞きし、一緒にベストな解決策を考えることで、「納得の相続」を増やしていくことを目指している。
趣味は旅行とグルメ。自分の直感で選ぶと大体失敗することから、旅の前には情報を徹底的に調べ、実際に行った人の声や情報を参考にしながら評価が高いところを巡っている。
[相続発生後の手続き]
相続した空き家を「とりあえずそのまま」にしていませんか。
空き家は放置すると劣化が進み、特定空き家に指定されることで固定資産税の増額や行政指導の対象となる可能性があります。さらに、売却しようとした時にはすでに建物としての価値を失い、解体費用がかかる“負動産”になっているケースも少なくありません。本記事では、特定空き家の仕組みとリスク、そして資産価値を失う前に取るべき現実的な対応について解説します。
目次
特定空き家になる前に考えるべきこと
「親の家を相続したけれど、今すぐ使う予定はない」
「売るかどうかも決めていないので、とりあえずそのままにしている」
相続後の空き家では、このようなケースが非常に多くあります。
しかし、空き家は放置しても現状維持されるわけではありません。
人が住まなくなった家は、想像以上のスピードで傷みます。雨漏り、雑草、害虫、外壁の劣化、近隣からの苦情などが少しずつ積み重なり、気づいたときには「売れる家」ではなく「処分にお金がかかる建物」になっていることがあります。
その代表的な制度が、特定空き家です。
特定空き家とは、簡単に言えば、放置によって周囲に危険や迷惑を及ぼす状態になった空き家のことです。
例えば、屋根や外壁が崩れそうになっている、雑草が伸び放題になっている、害虫や害獣が発生している、不法投棄の原因になっている、近隣から苦情が出ているようなケースです。
ここで重要なのは、所有者が「まだ大丈夫」と思っているかどうかではなく、市区町村が客観的に状態を見て判断するという点です。
「たまに見に行っているから大丈夫」
「親の家だから、いずれ何とかするつもり」
そう思っていても、外から見て管理されていない状態であれば、行政から指導を受ける可能性があります。
特定空き家の問題は、相続と非常に相性が悪いです。
相続した家は、思い入れがあるためすぐに売る判断ができないことがあります。
また、兄弟姉妹で共有になっている場合、「誰が動くのか」が曖昧になり、そのまま数年経ってしまうこともあります。
しかし、空き家はその間にも確実に劣化します。
最初は普通の中古住宅だったものが、数年後には雨漏りやシロアリ、外壁の傷みなどにより、買主が住宅として見ることができない状態になることがあります。
そうなると、売却しようとしても「建物付きの土地」ではなく、「解体費がかかる土地」として見られるようになります。
特定空き家として行政から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れ、固定資産税が大きく上がる可能性があります。
例えば、これまで土地の固定資産税が年間5万円程度だった場合でも、特例解除により年間20万円〜30万円程度になることがあります。
ここで多くの方が初めて売却を検討します。
しかし、問題はその時点で売ろうとしても、すでに建物の状態が悪化していることが多いという点です。
つまり、税金が上がったから売ろうと思ったときには、もはや「家」として売れる状態ではなく、買主からは「解体費がかかる廃墟」と見られてしまうのです。
空き家の怖さは、価値が少しずつ下がるだけではありません。
ある時点を超えると、資産から負債に変わります。
まだ建物として使える状態であれば、売却できる可能性があります。
リフォームして住みたい人、賃貸にしたい人、古家付き土地として購入したい人が見つかる可能性もあります。
一方で、劣化が進みすぎると、買主はまず解体費を考えます。
木造住宅の解体費だけでも、一般的に100万円〜300万円以上かかることがあります。
さらに残置物の処分、測量、境界確認、道路や接道の問題が重なると、売却代金よりも処分費用の方が重くなることもあります。
その段階では、もはや「いくらで売れるか」ではなく、
「いくら払えば手放せるか」という話になってしまいます。
相続した空き家について一番避けるべきなのは、判断を先延ばしにすることです。
使う予定がないのであれば、早い段階で売却を検討するのが基本です。
まだ建物としての価値が残っているうちであれば、売却の選択肢も広がりますし、買主側も前向きに検討しやすくなります。
反対に、空き家の状態が悪くなってから動くと、売却価格は下がり、解体費や管理費、固定資産税の負担が増えます。
結果として、もっと早く売っておけばよかったというケースは少なくありません。
もちろん、すでに建物がかなり傷んでいる場合もあります。
その場合でも、放置を続けるのは最悪の選択です。
状況によっては、次のような対応を検討します。
相続開始を知った時から3か月以内であれば、相続放棄を検討できる場合があります。
ただし、預金を使ったり、遺品を処分したり、不動産を管理・処分したりしていると、相続を承認したと判断される可能性があるため注意が必要です。
一定の要件を満たす土地については、国に引き取ってもらう制度を検討できる場合があります。
ただし、建物がある土地は対象外であり、境界や管理状況などの要件も厳しいため、誰でも使える制度ではありません。
状態が悪い不動産でも、取り扱える不動産会社が見つかる場合があります。
通常の居住用不動産とは違い、空き家・古家・再建築・解体前提の不動産に慣れている業者へ相談することが重要です。
弊社では、必要に応じてこのような物件の取り扱いに慣れた不動産会社をご紹介することも可能です。
相続した空き家は、何もしなければそのまま維持されるわけではありません。
放置すれば建物は劣化し、近隣トラブルや行政指導の対象となり、最終的には特定空き家として固定資産税が上がる可能性があります。
そして、その段階で売却を検討しても、すでに家としての価値を失い、解体費や処分費がかかる「負動産」になっていることがあります。
大切なのは、
「特定空き家になってからどうするか」ではなく、
「特定空き家になる前にどうするか」です。
空き家を相続したものの、売るべきか、残すべきか、解体すべきか判断できない場合は、早めにご相談ください。
弊社では、相続手続きだけでなく、不動産の状況整理、相続放棄や相続土地国庫帰属制度の検討、必要に応じた不動産会社のご紹介まで含めて、現実的な出口をご案内いたします。
ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。
対応地域
千葉市を中心とした千葉県全域