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[生前対策]

家族信託で実家を売却するには?認知症後でも不動産を売れる仕組みを解説

  • 投稿:2026年05月08日
家族信託で実家を売却するには?認知症後でも不動産を売れる仕組みを解説

親が認知症になると、実家は家族だけでは自由に売却できなくなる可能性があります。家族信託を活用すれば、認知症後でも子どもが不動産売却を進められるケースがあります。ただし、実際の売却には信託登記だけでなく、境界確定測量・未登記建物・農地の問題など、実務上の注意点も重要です。千葉の司法書士・土地家屋調査士が、実家売却を見据えた家族信託の仕組みを解説します。

「実家を売って施設費用に充てようと思っていたのに、動けなかった」

これは実際によくある相談です。

千葉県内でも、「親が認知症になってから実家をどうするか考えた」という方からのご相談が増えています。しかし、その段階ではすでに手遅れになっているケースが少なくありません。

親が認知症になると、原則として実家は自由に売れなくなります。

そして、すでに認知症の診断が出ている場合、家族信託は設定できません。準備には数か月かかることもあります。「まだ大丈夫」と思っている今が、動ける最後のタイミングかもしれません。

このページでは、不動産売却まで見据えた家族信託の仕組みと、実務上のポイントを解説します。

認知症後に「実家が売れない」と何が起きるか

売買契約ができない 不動産の売買契約には、売主本人の署名・捺印が必要です。判断能力のない本人に代わって家族が勝手に契約することはできません。「買主が決まったのに、契約できない」という事態が実際に起きています。

成年後見制度を使わざるを得なくなる 認知症後に不動産を売却するには、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう方法があります。ただし、この制度には大きな制約があります。

  • 申し立てから選任まで数か月かかる
  • 専門家が後見人に選任された場合、毎月報酬が継続的に発生する
  • 一度開始すると、原則として本人が亡くなるまで終了できない
  • 不動産の売却に裁判所の許可が必要になる場合がある
  • 「家族が売りたいタイミング」ではなく「本人保護」が最優先されるため、売却が認められないケースもある

専門職後見人が選任され長期間継続した場合、累計で大きな費用負担になることがあります。「施設費用が急に必要になった」「市場が良いときに売りたい」という場面で、後見制度の手続きに追われているうちに機会を逃す——これが認知症後の不動産売却の現実です。

空き家・管理問題も進行する 売却できない間も固定資産税は発生し、建物は劣化し、草木は伸び続けます。千葉県内の郊外住宅でも、空き家になった実家の管理が行き届かず、近隣からの苦情や建物価値の下落につながるケースが増えています。放置が長くなるほど、売却価格にも影響します。

認知症後の実家売却について、対策なしの場合と家族信託を設定した場合の違いを比較した図解。成年後見による制約と、家族信託による売却・管理の流れを説明している。

家族信託を使うと何が変わるか

家族信託で不動産を信託財産にし、信託登記を入れることで、以下が実現します。

認知症後も子どもが売却を進められる 受託者(子ども)が信託契約に基づいて売買契約を締結し、手続きを進められます。裁判所の許可は原則不要です。

売却のタイミングを家族が判断できる 後見制度のように裁判所の審査を経ることなく、「今が売り時」「施設入居が決まった」というタイミングで動けます。

売却代金を介護費用に充てられる 売却代金は信託口口座で管理し、施設費用・介護費用・生活費に継続して充てることができます。「実家を売って介護費用に」という計画を、認知症後も実行できます。

家族信託をしても、実家がすぐ売れるとは限りません

家族信託は「法律上、売却できる状態」を作る手続きです。しかし、実際の不動産売却では、書類上の権利が整っているだけでは動きません。

家族信託後でも実家が売却できない原因をまとめた図解。境界未確定、未登記建物、古い測量図、共有名義、農地、建物老朽化など、不動産売却で問題になりやすいポイントを説明している。

不動産売却には、法律の手続き(登記)と現地の実態調査(測量・建物調査)の両方が必要です。信託登記は「売却する権利」を移すものであり、売却に必要な「実態(境界・建物の状態)」が整っていなければ、買主・仲介会社・金融機関は動きません。

実際のところ、境界が曖昧、増築が未登記、古い測量図しかない——こうした「現地の問題」で売却が止まるケースが少なくありません。

境界が確定していない 千葉県内の古い分譲地や郊外住宅では、境界標(杭・鋲)が失われているケースが多く見られます。買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関から境界確定を求められることがほぼ確実です。境界が不明確なままでは、売却価格を大幅に下げるか、最悪の場合は買主から契約をキャンセルされることもあります。

境界確定には隣地所有者との立会い・合意が必要で、スムーズにいけば2〜3か月、長期化すれば半年以上かかることもあります。「買主が決まったのに、境界が確定できず話が流れた」というケースは実際に起きています。

未登記の建物・増築がある 後から増築した部屋、サンルーム、物置、車庫——これらが登記されていないケースが実務上かなり多いです。登記と現況が異なると、買主の住宅ローン審査で引っかかることがあります。売却前に現地調査を行い、登記と実際の建物を照合しておくことが必要です。

農地が含まれている場合の注意 農地は農地法の規制により、実務上は信託財産にすることが極めて難しい財産です。農地が含まれている場合は、信託とは別の手段での対応が必要になります。なお、山林は農地法の適用外であり、信託財産にすることは可能です。

なぜ司法書士だけでは対応しきれない場面があるのか

一般的な不動産売却手続きと、司法書士・土地家屋調査士が連携したワンストップ対応を比較した図解。信託設計、登記、測量、売却手続きの流れをわかりやすく説明している。

信託登記や売買の登記は司法書士の業務ですが、境界確定測量・現況測量・建物の表示登記は土地家屋調査士の業務です。業務範囲が異なります。

一般的な事務所では、司法書士が信託契約を組み、いざ売却という段階で別の土地家屋調査士に測量を依頼します。そこで境界の問題が発覚すると、問い合わせ先が分かれ、その間に売却タイミングを逃すこともあります。

測量が遅れれば売買破談リスクが生じ、登記の不備があれば融資が通らず、境界が未確定であれば価格交渉で不利になります。登記と測量の両方をワンストップで対応できるかどうかは、実際の売却成否に直結します。

当事務所では、司法書士・土地家屋調査士が在籍しているため、信託契約書の作成・信託登記から境界確定測量・建物調査・売却時の登記まで、窓口ひとつでまとめて対応できます。信託設計の段階で現地の状況を確認し、「この物件は将来売れる状態にあるか」を把握したうえで設計することを重視しています。

家族信託で不動産を売却するまでの流れ

STEP 1:相談・設計 財産全体の棚卸し(不動産の状況・預貯金・有価証券)から始めます。境界の状態・登記と現況の照合・農地の有無・将来の売却見込みを確認し、信託の目的と対象財産を設計します。

STEP 2:信託契約書の作成 設計した内容をもとに、信託契約書を作成します。「将来的な売却」を目的として明記しておくことで、受託者が判断しやすくなります。公正証書にすることで、後々の紛争リスクを下げられます。

STEP 3:信託登記 法務局で信託登記を行い、不動産の管理・処分権限を受託者に移転します。

STEP 4:信託口口座の開設・財産移転 対応している金融機関で信託口口座を開設し、管理に必要な預貯金を移します。

STEP 5:必要に応じて測量・建物調査 将来の売却を見越して、境界確定や建物調査を行っておくことが理想です。測量には一定の時間がかかるため、売却が急に必要になってから着手すると、時間的なロスが生まれます。

STEP 6:売却活動(受託者が主体) 不動産会社との打ち合わせ、内覧対応、売買条件の交渉を受託者(子ども)が進めます。

STEP 7:売買契約・決済・登記 売買契約の締結・決済・所有権移転登記まで、受託者が署名・捺印します。なお、売却時には譲渡所得税など税務上の検討が必要になるため、税理士と連携して進めることが重要です。

費用の目安

費用の種類目安
信託契約書作成・設計(専門家報酬)数十万円〜(財産の規模・複雑さによる)
信託登記(登録免許税)固定資産評価額の0.3〜0.4%
境界確定測量数十万円〜(隣地の状況・規模による)
未登記建物の表示登記数万円〜
売却時の所有権移転登記売却価格・物件内容による
総額の目安50万〜150万円程度

※別々の事務所に依頼する場合、それぞれで相談料・基本報酬が発生しますが、当事務所では窓口を一本化することでコストの重複を抑えられます。

費用だけを見ると「高い」と感じることもあります。ただし、対策をしない場合に発生するコストと比較することが重要です。成年後見人への報酬が長期にわたって継続した場合の累計負担、そして売却機会を逃した場合の機会損失——こうしたリスクと天秤にかけて判断することをお勧めします。

よくある質問

Q 親が軽度認知症でも家族信託はできますか?

軽度認知症(MCI)の段階であれば、本人の判断能力が確認できれば設定できる場合があります。ただし、症状の進行具合によっては公証役場や金融機関での手続きが難しくなることもあります。「まだ大丈夫かな」と感じた段階で早めにご相談ください。

Q 家族信託した不動産はいつでも売れますか?

受託者は信託契約の目的の範囲内であれば売却の判断ができます。ただし、境界確定や建物調査が済んでいない場合は、売却手続きに時間がかかります。信託設定と並行して物件の状態を整えておくことが重要です。

Q 家族信託した実家を売ると税金はどうなりますか?

売却益に対して譲渡所得税が発生する可能性があります。信託であっても税務上の取り扱いは通常の売却と同様です。取得費・特別控除の適用なども含めて、税理士と連携しながら進めることをお勧めします。

Q 兄弟の同意は必要ですか?

信託契約は委託者(親)と受託者(子ども一人)の間で結ぶものであり、他の兄弟姉妹の同意は法律上必須ではありません。ただし、後々のトラブルを防ぐために、設定前に家族間で方針を共有しておくことを強くお勧めします。

Q 今住んでいる実家でも家族信託できますか?

できます。信託設定後も、委託者(親)が引き続き居住することは可能です。居住権については信託契約書に明記しておくことで、受益者として生活環境を守ることができます。

今すぐ確認:実家の「売れる状態」チェックリスト

将来の売却を考えているなら、以下を今のうちに確認しておくことをお勧めします。

  • 隣地との境界杭がすべて確認できているか
  • 実家に未登記の増築・サンルーム・物置などはないか
  • 古い測量図しか存在しないか、または測量図がないか
  • 農地が含まれていないか(含まれる場合は信託対象外・別途対策が必要)
  • 山林が含まれている場合、信託財産にするかどうかを整理しているか
  • 親の判断能力は、現時点で契約を結べる状態か

ひとつでも「分からない」があれば、早めに専門家に確認することをお勧めします。 チェック結果をそのままご相談の材料にしていただくことも可能です。

まとめ:「売れる状態」まで見据えた設計を、今のうちに

実家を将来売却する可能性がある場合、確認すべきなのは「家族信託が必要か」だけではありません。

  • 今の状態で売却できる物件かどうか
  • 境界に問題がないか
  • 未登記建物がないか
  • 売却代金の使い方をどう設計するか

これらを含めて、今のうちに整理しておくことが重要です。

千葉県内では、高齢化に伴い「親が施設入居し、空き家になった実家をどうするか」という相談が年々増えています。そのとき動ける状態を作れるかどうかは、親が元気なうちに手を打っているかどうかにかかっています。

認知症の診断が出てからでは、家族信託の設定はできません。「まだ大丈夫」と思っていたところに、施設入居が急に決まった、空き家管理が限界になった——そうした相談が、実際に多くあります。まだ選択肢がある今のうちに、一度整理することをお勧めします。

当事務所では、司法書士・土地家屋調査士の両面から、実家が将来売れる状態にあるかを確認し、必要な対策をご提案しています。信託契約書の作成・信託登記から境界確定測量・建物調査・売却時の登記まで、ワンストップで対応しています。初回のご相談では、現状で売却できる状態にあるか、信託が必要かどうか、測量の要否はどうかを整理するところから始めます。まずはお気軽にご相談ください。

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