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[相続発生後の手続き]

相続人と連絡が取れない場合の遺産分割協議・相続登記の進め方|司法書士が解説

  • 投稿:2026年06月14日
相続人と連絡が取れない場合の遺産分割協議・相続登記の進め方|司法書士が解説

相続人の一人と連絡が取れず、遺産分割協議や相続登記が進まない場合の対応方法を司法書士が解説します。住所調査、連絡文書、遺産分割調停、不在者財産管理人、相続人申告登記など、状況に応じた進め方を整理しています。

相続人の一人と連絡が取れなくても、すぐに諦める必要はありません

相続が始まり、いざ実家の名義変更(相続登記)を進めようとしたとき、「相続人の一人と連絡が取れない」という壁にぶつかる方は少なくありません。

  • 兄弟姉妹の一人と長年音信不通になっている
  • 前妻の子や、面識のない親族の住所が分からない
  • 手紙を送ったのに返事がない
  • 遺産分割協議書を送っても署名・押印してくれない

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。一人でも除外して進めた協議は原則として無効になり、それを使って相続登記や預貯金の解約を進めることはできません。

しかし、連絡が取れないからといって、手続きを諦める必要はありません。「連絡が取れない」と言っても、居場所が分からないのか、住所は分かるが応じてもらえないのか、本当に行方不明なのかによって、とるべき解決策は異なります。住所の調査、連絡文書の送付、家庭裁判所での調停、不在者財産管理人の選任、相続登記義務化への対応など、状況に応じた方法があります。

この記事では、連絡が取れない相続人がいる場合の進め方と、いきなり弁護士に依頼せず費用を抑えて手続きを進める考え方を、司法書士の視点から解説します。

まず「どのタイプの連絡不能か」を整理する

一口に「相続人と連絡が取れない」といっても、状況によってとるべき手続きは大きく異なります。まずは、ご自身の状況が次のどれに当てはまるかを確認してください。

相手の状況まず踏むべきステップ
どこに住んでいるか分からない戸籍・戸籍附票などで現在の住所を調査する
住所は分かるが返事がない丁寧な連絡文書を送る
連絡は取れるが協議に応じない遺産分割調停を検討する
本当に行方不明で生死も分からない不在者財産管理人の選任を検討する
認知症・未成年・長期の生死不明など成年後見・特別代理人・失踪宣告などで対応する
相続人と連絡が取れない場合に、住所調査、連絡文書、遺産分割調停、不在者財産管理人、相続人申告登記へ進む流れを示した図

ここを間違えると、必要のない手続きに進んでしまったり、必要な手続きを見落としてしまったりします。まずは戸籍を集めて相続人を確定し、現在の住所や状況を確認することが出発点です。

住所が分からない場合:戸籍・附票で現在の住所を調査する

「相続人がいることは分かっているが、今どこに住んでいるか分からない」というケースでは、まず住所調査を行います。

電話やメールがつながらなくても、戸籍をたどれば現在の住所にたどり着けることがほとんどです。被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどって相続人を確定し、そのうえで戸籍の附票や住民票の除票などを追跡することで、相手の現住所を調べます。

特に、長年連絡を取っていない兄弟姉妹がいる、前婚の子や認知された子がいる、代襲相続で甥・姪が相続人になっている、相続人が全国に散らばっている、といった場合に住所調査が必要になります。

一般の方がご自身で全国の役所へ戸籍や附票を取り寄せるのは、時間も手間もかかります。司法書士にご依頼いただければ、相続登記などの手続きに関連して、戸籍や附票の取得による住所調査を行うことができます。「住所が分からないから」と諦める必要はありません。

住所が分かる場合:まずは丁寧な連絡文書を送る

相手の住所が判明したら、まずは手紙で連絡を取るのが基本です。

このとき大切なのは、最初から強い文面にしすぎないことです。いきなり「この内容で署名押印してください」「期限までに返事がない場合は法的手続きを取ります」といった書き方をすると、相手が身構えてしまい、かえって話がこじれることがあります。

最初の連絡文書では、次の点を穏当な表現で伝えます。

  • 被相続人が亡くなり、相続手続きが必要になったこと
  • 法律上、相続人全員で遺産分割協議をする必要があること
  • 一方的に内容を決めるものではなく、話し合いをしたいこと
  • 連絡先や返信方法

相続人同士の関係が薄い場合、最初の一通の印象で、その後の進みやすさが大きく変わります。当事務所では、単に署名押印を求める事務的な手紙ではなく、相手に警戒されにくく、手続きの必要性が伝わる連絡文書の作成をサポートしています。

手紙を送っても返事がない場合は、見落としの可能性もあるため再度連絡を試み、それでも応じてもらえない場合に、次の遺産分割調停を検討します。

協議に応じてもらえない場合:遺産分割調停を検討する

手紙を送っても応じてもらえない、署名押印を拒否されている、取り分で折り合いがつかない、といった場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を検討します。

遺産分割調停は、家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを進める手続きです。調停が成立すれば調停調書が作成され、これに基づいて相続登記を進めることができます。調停がまとまらない場合には、審判手続に移行することがあります。

ここで、「調停になったら最初から弁護士に依頼しなければならないのか」という疑問をよくいただきます。

結論として、必ずしも最初から弁護士に依頼しなければならないわけではありません。司法書士は、遺産分割調停の申立書類の作成をサポートできます。相手が「ただ手続きを放置しているだけ」「法定相続分がもらえれば異論はない」というスタンスであれば、司法書士が作成した申立書類で調停を開始し、ご自身で出席することで解決できる場合もあります。最初から弁護士に代理人を依頼するより、費用を抑えて進められます。

一方で、司法書士は、調停の場で代理人として出席したり、相手方と交渉したり、法的主張を代理して戦わせたりすることはできません。次のような場合には、弁護士への相談を検討する段階です。

  • 相手方が弁護士を立ててきた
  • 遺産の範囲や評価、使い込み、寄与分、特別受益などで本格的に争っている
  • 感情的対立が強く、本人だけで対応するのが難しい
  • 調停に代理人として出席してもらう必要がある

つまり、いきなり弁護士に依頼するのではなく、まずは司法書士でできる書類作成から進め、本格的に争う段階になったら弁護士に切り替えるという進め方も現実的です。費用を抑えながら、段階に応じて専門家を使い分けることが大切です。

本当に行方不明の場合:不在者財産管理人を検討する

住所を調査しても所在が分からず、生死も不明で、戻ってくる見込みもない場合は、その人を無視して遺産分割協議をすることはできません。このようなケースでは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法をとります。

不在者財産管理人とは、行方不明になっている人に代わって、その財産を管理するために家庭裁判所が選任する人です。選任された管理人が、家庭裁判所の許可(権限外行為許可)を得たうえで、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加します。

この手続きを経ることで、行方不明の相続人がいる場合でも、相続登記に向けて進められる可能性があります。当事務所では、不在者財産管理人選任の申立書類の作成をサポートしています。

その他の手続き(失踪宣告・成年後見・特別代理人)

連絡が取れない原因が無視や行方不明ではなく、判断能力や年齢、長期の生死不明である場合は、次の手続きが必要になります。当事務所では、これらに関連する家庭裁判所への申立書類の作成にも対応しています。

失踪宣告:長期間(普通失踪の場合は7年間)にわたって生死不明が続いている場合に、法律上死亡したものとみなす手続きです。慎重な判断が必要ですが、申立書類の作成で対応できます。

成年後見制度:連絡は取れるものの、認知症などで遺産分割の意味を理解できない相続人がいる場合、選任された後見人が本人に代わって遺産分割協議に参加します。ただし、選任後も本人の財産管理が続くため、慎重な検討が必要です。

特別代理人:相続人の中に未成年者がいて、その親も同じ相続の相続人である場合(親子で利益が相反する場合)、未成年者に代わって協議を行う代理人を家庭裁判所に選任してもらいます。

相続登記義務化との関係:遺産分割が進まない場合でも放置はできません

遺産分割がまとまらない場合に相続人申告登記で義務化に対応し、その後に改めて相続登記を行う流れを示した図

相続登記は、2024年4月1日から義務化されています。相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく怠ると、過料の対象となる可能性があります。

「連絡をくれない相続人がいるから進まない」という理由は、義務違反を回避する理由としては認められない場合があります。そこで検討したいのが、相続人申告登記です。

相続人申告登記とは、期限内に通常の相続登記を申請することが難しい場合に、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、相続登記の申請義務を果たしたものとして扱われる制度です。

ただし、相続人申告登記は最終的な名義変更ではありません。不動産を売却したり担保に入れたりする場合や、最終的に単独名義にする場合には、遺産分割を経て改めて通常の相続登記が必要です。あくまで、相続登記義務化に対応するための一時的な手段と考えるべきものです。

連絡が取れない相続人がいる場合でも、まずは相続人申告登記で申請義務に対応しておき、その間に連絡文書や調停などの対策を進める、という方法が考えられます。

法定相続分による相続登記をする方法もあるが、注意が必要

遺産分割協議がまとまらない場合、話し合いを経ずに法定相続分どおりに相続登記をする方法もあります。この登記は、他の相続人の同意がなくても、相続人の一人から申請できます。

ただし、注意が必要です。法定相続分で登記をすると、その不動産は相続人全員の共有になります。共有状態になると、将来の売却・担保設定・管理処分の場面で、結局ほかの相続人の関与(実印や印鑑証明書)が必要になります。連絡が取れない相続人がいる場合には、法定相続分で登記をしても、問題を先送りするだけになってしまうことがあります。

単に申請義務に対応したいだけであれば、相続人申告登記を利用する方が費用も手間もかからず、将来の負担にもなりません。法定相続分による相続登記をするかどうかは、最終的にその不動産をどうしたいのかを踏まえて判断する必要があります。

連絡が取れない相続人がいる場合の進め方

実際には、次のような流れで進めることが多いです。

  1. 戸籍を集めて相続人を確定する(後から別の相続人が判明すると協議をやり直すことになるため、正確に把握します)
  2. 戸籍附票などで、住所が分からない相続人の現在の住所を調査する
  3. 住所が判明したら、相続手続きが必要であることを伝える連絡文書を送る
  4. 相続人全員で合意できれば、遺産分割協議書を作成し、相続登記を申請する
  5. 返事がない・協議に応じてもらえない場合は、遺産分割調停を検討する
  6. 本当に所在不明・生死不明の場合は、不在者財産管理人や失踪宣告を検討する
  7. 遺産分割がすぐにまとまらない場合は、相続人申告登記などで相続登記義務化に対応しておく

司法書士でできること・弁護士に相談すべきこと

相続人と連絡が取れない場合、「すぐに弁護士に相談しないといけないのでは」と思われる方もいます。もちろん本格的な争いになっている場合には弁護士への相談が必要ですが、すべてのケースで最初から弁護士に依頼しなければならないわけではありません。

司法書士で対応できること

  • 相続人調査・戸籍収集・戸籍附票などによる住所調査
  • 相続人への連絡文書の作成サポート
  • 合意できた場合の遺産分割協議書の作成
  • 相続登記、相続人申告登記、法定相続分による相続登記
  • 遺産分割調停の申立書類の作成
  • 不在者財産管理人選任の申立書類の作成
  • そのほか、失踪宣告・成年後見・特別代理人選任など、関連する家庭裁判所提出書類の作成

弁護士に相談すべき場面

  • 相手方と交渉してほしい、調停に代理人として出席してほしい
  • 相手方が弁護士を立ててきた
  • 遺産の使い込みを追及したい、特別受益や寄与分で本格的に争っている
  • 相続人間の対立が強く、本人だけでは対応が難しい

司法書士は、相続登記や申立書類の作成を通じて手続きをサポートできますが、相手方との交渉代理や、紛争性のある事件の代理はできません。まずは司法書士でできる書類作成・登記手続きから始め、争いが本格化した段階で弁護士に依頼するという進め方が、費用面でも現実的です。

相続人と連絡が取れず、相続登記が進まない方へ

相続人の住所が分からない、手紙を送っても返事がない、遺産分割協議書に署名押印してもらえない。このような場合でも、状況に応じて進められる手続きがあります。

吉原合同事務所では、千葉市を拠点に、相続人調査・戸籍収集・住所調査・連絡文書の作成・遺産分割協議書の作成・相続登記に対応しています。遺産分割調停や不在者財産管理人選任などの申立書類の作成もサポートできます。「何から手をつければよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。

 相続人調査・相続登記について相談する

よくある質問

Q 連絡が取れない相続人を除いて、遺産分割協議を進めることはできますか?

できません。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人を除外して作成した協議書は原則として有効になりません。ただし、無視される場合は遺産分割調停、行方不明の場合は不在者財産管理人を立てるなど、その人と直接顔を合わせずに法的に解決するルートがあります。まずは戸籍・附票による住所調査や連絡文書の送付から進めることになります。

Q 司法書士に頼むと、相手の住所は分かりますか?

相続登記や裁判所への申立てといった手続きに関連して、司法書士が戸籍の附票などを順にたどることで、現在の住所を調査できることがあります。相手が日本国内で住民票を動かしている限り、現住所が判明するケースは多くあります。

Q 遺産分割調停は弁護士に依頼しないとできませんか?

必ずしも最初から弁護士に依頼しなければならないわけではありません。司法書士は調停の申立書類の作成をサポートできます。相手が法定相続分で納得しているような場合は、ご自身で出席して解決できることもあります。ただし、調停の場で代理人として出席したり相手方と交渉したりすることは司法書士にはできないため、相手方が弁護士を立ててきた場合や本格的な争いになった場合には、弁護士への相談を検討する段階です。

Q 相続人が本当に行方不明の場合はどうなりますか?

家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。選任された管理人が、家庭裁判所の許可(権限外行為許可)を得たうえで、行方不明の相続人に代わって遺産分割協議に参加します。当事務所では、その申立書類の作成をサポートできます。

Q 遺産分割がまとまらないと、相続登記の義務違反になりますか?

遺産分割がすぐにまとまらない場合でも、相続人申告登記をすることで、相続登記の申請義務を果たしたものとして扱われます。ただし、これは最終的な名義変更ではないため、遺産分割がまとまった後に改めて相続登記が必要です。放置せず、まずはできる対応をとっておくことが大切です。

まとめ:連絡が取れない相続人がいても、まずは調査から進められます

相続人の一人と連絡が取れない場合、その人を除外して遺産分割協議を進めることはできません。しかし、連絡が取れないからといって、相続登記を諦める必要はありません。

まずは戸籍を集めて相続人を確定し、戸籍附票などで住所を調査します。住所が分かれば丁寧な連絡文書を送り、応じてもらえない場合には遺産分割調停を、本当に行方不明の場合には不在者財産管理人の選任や失踪宣告を検討します。

また、相続登記は義務化されているため、遺産分割がすぐにまとまらない場合でも、相続人申告登記などで早めに対応しておくことが大切です。

相続人間で本格的な争いになった場合には弁護士への相談が必要になることもありますが、最初から必ず弁護士に依頼しなければならないわけではありません。まずは司法書士でできる範囲から進め、必要に応じて弁護士へつなぐという進め方が、費用面でも現実的です。

相続人調査から相続登記まで、吉原合同事務所へご相談ください

連絡が取れない相続人がいる相続では、何から手をつければよいか分からず、手続きが止まってしまいがちです。当事務所では、相続人調査・戸籍収集・住所調査から、連絡文書の作成、遺産分割協議書の作成、相続登記、各種申立書類の作成まで、状況に応じてサポートします。

状況を整理したうえで、司法書士で対応できる手続きと、弁護士に相談すべき場面を含めて、現実的な進め方をご案内します。相続人間で本格的な争いになった場合は、弁護士への相談をご案内します。

千葉市を拠点に、千葉市内および周辺地域のご相談に対応しています。お気軽にご相談ください。

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